● 解説【3】ESDの視点に立った学習指導で重視する能力・態度(例)

ESDで重視する能力・態度として、7つの例を示しています。この能力・態度と関わらせながら、単元目標や授業目標を設定することで、ESDの視点に立った学習指導が展開できます。ただし、能力・態度はこれらに限定されるものではありません。

下記の要素は、国立教育政策研究所 教育課程研究センター「ESDの学習指導過程を構想し展開するために必要な枠組み」をもとにしています。


①批判的に考える力
・ 合理的、客観的な情報や公平な判断に基づいて本質を見抜き、ものごとを思慮深く、建設的、協調的、代替的に施行・判断する力
<具体例>
○ 他者の意見や情報を、よく検討・理解して採り入れる
× 得られたデータや考え方を鵜呑みにする
○ 積極的・発展的に、よりよい解決策を考える
× 消極的・悲観的に考え、すぐに諦めて、答えだけを得ようとする

②未来像を予測して計画を立てる力
・ 過去や現在に基づき、あるべき未来像(ビジョン)を予想・予測・期待し、それを他者と共有しながら、ものごとを計画する力
<具体例>
○ 見通しや目的意識を持って計画を立てる
× 無計画にものごとを進めたり、その場しのぎをしたりする
○ 他者がどのように受け取るかを想像しながら計画を立てる
× 独りよがりにものごとを進めてしまう

多面的、総合的に考える力
・ 人・もの・こと・社会・自然などのつながり・かかわり・ひろがり(システム)を理解し、それらを多面的、総合的に考える力
<具体例>
○ 廃棄物も見方によっては資源になると捉えることができる
× 役に立たないものは不要だと考える
○ 様々なものごとを関連付けて考える
× まとまりがなく、断片的な見方をする

コミュニケーションを行う力
・ 自分の気持ちや考えを伝えるとともに、他者の気持ちや考えを尊重し、積極的にコミュニケーションを行う力
<具体例>
○ 自分の考えをまとめて簡潔に伝えることができる
× 他者の意見の欠点ばかりを指摘し、自分の考えを言わない
○ 自分の考えに、他者の意見を取り入れる
× 他者の意見を聞こうとしない

他者と協力する態度
・ 他者の立場に立ち、他者の考えや行動に共感するとともに、他者と協力・協同してものごとを進めようとする態度
<具体例>
○ 相手の立場を考えて行動する
× 自分のことしか考えない
○ 仲間を励ましながらチームで活動する
×身勝手な行動、同調しない態度をとる

つながりを尊重する態度
・ 人・もの・こと・社会・自然などと自分とのつながり・かかわりに関心をもち、それらを尊重し大切にしようとする態度
<具体例>
○ 自分が様々なものごととつながっていることに関心をもつ
× 自分に直接関係のあることしか関心がない
○ いろいろなもののお陰で自分がいることを実感する
× 自分は一人で生きていると思い込む

進んで参加する態度
・ 集団や社会における自分の発言や行動に責任をもち、自分の役割を理解するとともに、ものごとに主体的に参加しようとする態度
<具体例>
○ 自分の言ったことに責任をもち、約束を守る
× 無責任な行動ばかりで、きまりを守らない
○ 進んで他者のために行動する
× 自分が得をすることしかしない