なたねプロジェクト
見て食べて楽しんで!使った油はリサイクル

このプログラムは、「株式会社アレフ」のプログラムを基にしています。

● プログラムの目標「食用油」という事例から、食を軸に食品ごみとその環境負荷について考え、3R(Reduce減らす、Reuse再利用、Recycle再生使用)の実践を身につける。また、油以外の食品ごみや一般ごみがどうなっているか考えるきっかけにし、生活が多面的な問題とつながっていることを理解してもらう。
● プログラムの概要「食用油」を題材に、①油が作られる過程、②使用済み油をそのまま捨てる際の環境負荷と「もったいない」を学び、③有限な資源を再利用する方法として、各地域に廃食油を回収するスーパーやレストランなどの拠点があること、④回収された後のリサイクル方法、⑤その利用先などを学ぶ。③〜⑤の現地学習やインタビューを取り入れると、油を持っていく時の注意点などに気付き、自分や各家庭が参加できる環境取り組みへの理解を深められる。

● 学習指導要領との関連

学年教科・領域学習内容
小学校5年家庭2 A 家族・家庭生活
(1)自分の成長と家族・家庭生活
ア 自分の成長を自覚し,家庭生活と家族の大切さや家庭生活が家族の協力によって営まれていることに気付くこと。

2 B 衣食住の生活
(2)調理の基礎
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 
(ア) 調理に必要な材料の分量や手順が分かり,調理計画について理解すること。 
(イ) 調理に必要な用具や食器の安全で衛生的な取扱い及び加熱用調理器具の安全な取扱いについて理解し,適切に使用できること。 
(ウ) 材料に応じた洗い方,調理に適した切り方,味の付け方,盛り付け,配膳及び後片付けを理解し,適切にできること。
小学校5年社会
(2)我が国の農業や水産業における食料生産について,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 我が国の食料生産は,自然条件を生かして営まれていることや,国民の食料を確保する重要な役割を果たしていることを理解すること。
(イ) 食料生産に関わる人々は,生産性や品質を高めるよう努力したり輸送方法や販売方法を工夫したりして,良質な食料を消費地に届けるなど,食料生産を支えていることを理解すること。
(ウ) 地図帳や地球儀,各種の資料で調べ,まとめること。


(3)我が国の工業生産について,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。 
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 我が国では様々な工業生産が行われていることや,国土には工業の盛んな地域が広がっていること及び工業製品は国民生活の向上に重要な役割を果たしていることを理解すること。
(エ) 地図帳や地球儀,各種の資料で調べ,まとめること。

● SDGsの要素

油を使う料理と回収の体験を行い,3R(Reduce減らす,Reuse再利用,Recycle再生使用)の実践を身につける。
油が植物から取れることを知り,食品ごみとその環境負荷について話し合い,自分たちにできることを考える。

● ESDの要素

油の製造過程や再利用する方法を学び,限りある資源を大切にする姿勢をもつ。
食用油の事例から,必要不可欠な「食」には食品ごみや環境負荷などの課題があることを理解する。
油の学習から食品ごみなどへの課題へつなげ,自分たちでできることを主体的に考える。

● ESDの能力・態度

食べ物への感謝の気持ちを育てながら,油を使った調理実習やリサイクルの見学などを行う。
グループごとに調べたことをまとめ,見学していない人にも分かるように発表し,交流する。
使用済み油は,バイオディーゼル燃料や石鹸,キャンドルなどの多様な活用方法があることに気づく。

● プログラム(単元・題材)の展開の流れ

11時間

活動、学習内容指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物)
1時間目油はどこから来るの?〜油が作られる過程を学ぼう
①家にある油を見て来て種類があることを知る。
②油が作物から取れることを学ぶ。
③ヒマワリやナタネの種を油取り紙にはさんでつぶして見る。
④搾ることのできる割合を知る。
①興味を高めるために、事前に香りや味にちがいがあるか、おうちの人に聞いて、味見させてもらうようにする。
④圧搾という搾る方法では約3割しか油が取れないことを確認させる。
〔資料として、ナノハナ畑やヒマワリ畑の写真、油の種類一覧写真、油取り紙、搾油作物のタネを用意する〕
2・3時間目使った油はどうするの?

①水と混ざるのか、使った油はどうなるか、また、使う方法があるか調べる。家の近くに集める場所があるのか考える。
②回収場所に行くグループの計画を立て、質問を考える。

・家庭で油の処理をどうしているかを認識することは大切だが、捨てている家庭が「悪い」とならないように留意する。事前に、集める場所、リサイクルする場所、廃油利用の公共車や廃油利用イベント、施設について調べておく。
〔少量の油と水、油吸収スポンジ・凝固材と使用後サンプル、油付排水管〕
4・5・6時間目回収場所の見学と集めた後の油
・回収場所の見学と回収場所に油を持っていく時の注意点を確認する。
・ローテーションで見学を行い、見学以外の生徒は、油の再利用法や用途を調べる。廃油利用車やリサイクル工場等の見学が可能であれば行い、ガソリン車との違いを調べる。
・回収方法や回収後の行方について質問できる担当者がいるか、見学可能人数など確認し、可能であれば事前に質問事項も一報しておく。
・使用済み油は、BDF(バイオディーゼル燃料)になって発電機や車を動かしたり、廃油ボイラーに使われたり、せっけんやキャンドルも作ることができることに気付かせる。
〔関連書籍や各施設の資料、地図〕
7・8時間目シェアリング
・グループごとにまとめ、お互いに見学内容を発表し合い、気づきを分かち合う。・見学していない人にも分かるようにわかりやく工夫して発表させる。例:回収量を机の大きさで表現
・他グループから質問を受けることによって、より考えを深める。
〔紙、ペンなど〕
9・10時間目調理実習
・油を使う料理の例と今日の調理内容・方法を確認する。
・調理後の油は冷まして回収し、少量の時は古い布などで拭いてから洗う。
・油は高温になるので、柄のついたフライパンなどは柄にぶつかって事故を起こさないよう指導する。
・複数での調理は死角や自分の作業に夢中になることもあるので、指導側も数人つくか時々声かけをする。
・油は少量でも、①油を無駄にしないこと②使用済み油をどうするか確認することと食への感謝の気持ちをもたせたい。
〔調理実習器具、油、食材〕
11時間目まとめ
・学んだことだけでなく、他の食品ごみについても考えを膨らませ、食べ残しの量や利用の可能性にも目を向け、今後自分達でもできることを考える。・児童の活動例:家で油を集めて持っていく。食べ残しがないよう学校全体に呼びかける。
・学校で油を回収して廃油回収業者に来てもらうなどが可能であれば、環境保全活動へ発展する。
段ボールコンポストサンプル等〕

その後の展開例等

①搾油作物の種まき、②植物の観察と植物に集まる生きものの調査、③結実した作物の観察と収穫・脱穀・唐箕体験、④小型搾油機による搾油体験、搾油工場の見学、油の性質や食品として精製されるまでの行程の学習、⑤使用済み油のBDF燃料化プラントとBDF燃料使用車の見学、⑥育てた作物の油を使った調理実習とその始末、また学校での廃油回収を、1年間通して計画的に行うと、さらに効果的な学習にできる。

①〜③は、収穫物への感謝の気持ちと花のつくりや結実への過程、生きもののつながりを通した自然科学への興味を育てる。④では、10割の種から7割が搾りカス、3割が油になること、油が貴重であること、搾りカスを肥料にして、資源の活用をしていることを伝え、適切な消費量を考えることや、資源リサイクル活動へ取り組むための動機につなげる。また、油の性質を学ぶことで、普段濡れない海鳥がタンカーのオイル流出事故で、なぜ命の危険に直面するのか、なぜ羊などの動物が雨の日も屋外で過ごせるのか、なぜ日本伝統の雨傘にエゴマ油が使われたのかなど、日常や自然への考察が可能になる。⑤では実際に再利用現場を見学し、自分の取り組みと最先端技術がつながることで可能な、循環型社会実現への前向きな気持ちを育てる。⑥で普段できない調理や後片付けも一緒に行い、レストランや学校などでの回収に参加する自主性を育てる。学習内容の感想文をレストランに掲示したり、学校行事で発表したり、油を小学校から給食センターへ提供するなど子どもからの発信へつなげると、さらによい。

● 地域で実践するときの補足情報

  • (株)アレフ直営の廃油回収店舗情報:
    見学は基本的に店舗が混まない時間が適しています。店舗で対応可能人数が違うので、確認が必要。油を大量に持参する場合は、保管場所や容量上限もあるため一報してほしい。
  • 弊社回収店舗がない場合、各市町村情報か、全国の取り組み団体を紹介する「菜の花プロジェクトネットワーク」、近所のスーパーなどを調べてみるとよい。