野菜は畑から
このプログラムは、「株式会社 アレフ」のプログラムを基にしています。
● 目標 | ①食べ物には旬があり季節によって収穫できるものが違うことを理解する。(ふるさと) ②作物は生きものであるため、周囲の環境が関係して生長することを理解する。(コミュニケーション) ③販売を通して、収穫物が商品になり、売れてはじめて収入(お金)になり、同じ作物を売っても販売方法により売り上げが変わることに興味を持たせる。(体験) |
● 概要 | 畑からいただく作物は自然の法則にしたがって生長しており、時期により役割や効能がさまざまである。作付け計画をし、収穫時期、収量を予測する。収穫後には自分達で値段をつけ、実際の販売なども体験する。 |
● 学習指導要領との関連
学年 | 教科・領域 | 学習内容 |
小学校5年 | 社会 | 2 (4)我が国の産業と情報との関わりについて,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 (ア) 放送,新聞などの産業は,国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解すること。 (イ) 大量の情報や情報通信技術の活用は,様々な産業を発展させ,国民生活を向上させていることを理解すること。 (ウ) 聞き取り調査をしたり映像や新聞などの各種資料で調べたりして,まとめること。 |
小学校5〜6年 | 総合的な学習の時間 | (5)目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じて,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題,地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題,児童の興味・関心に基づく課題などを踏まえて設定すること。 |
小学校5年 | 理科 | 2 B 生命・地球 (1)植物の発芽,成長,結実 植物の育ち方について,発芽,成長及び結実の様子に着目して,それらに関わる条件を制御しながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。 ア 次のことを理解するとともに,観察,実験などに関する技能を身に付けること。 (ア) 植物は,種子の中の養分を基にして発芽すること。 (イ) 植物の発芽には,水,空気及び温度が関係していること。 (ウ) 植物の成長には,日光や肥料などが関係していること。 (エ) 花にはおしべやめしべなどがあり,花粉がめしべの先に付くとめしべのもとが実になり,実の中に種子ができること。 |
● SDGsの要素
野菜の作付け計画,収穫予測,販売などの一連を体験することで,地域の課題を解決する経済活動に興味をもつ。 | |
作物の生育には,水,土,気温などの周囲の環境が関係することを理解し,状況の変化に注意しながら野菜の生産に取り組む。 |
● ESDの要素
自然環境のさまざまな要素により作物が生長する。 | |
流通のしくみや社会での役割の違い(生産、販売、消費)を実体験できる。 |
● プログラム(単元・題材)の展開の流れ
12時間
活動、学習内容 | 指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物) | |
1時間目 | 名産品をつくろう! | |
何をどれくらい植えるとどれだけの収穫をえられるのか、予測して計画をたてる。 | ◇「地域の名産をつくりだす」「途絶えていた作物を復活する」等のテーマで意欲をもたせる。 ◇売るために植え育てるか、食べるために植え育てるのか話し合う。 ◇植える場所に適しているところを探す。 ◇作付け図をつくる。 ◇観察日記をつける。 ◇夏と秋の2期に収穫できる作物がのぞましい。 〔模造紙〕 | |
2時間目 | 土にさわろう! | |
苗の定植、種をまく。 | ◇畑の土をおこし、畦をつくる。 ◇植える間隔、種類を考えながら苗、種を植える。 ◇適した道具を使う。 〔スコップ、鍬、水、品種プレート、区画ロープ〕 | |
3時間目 | 観察しよう① | |
発芽した余分な芽を間引く。必要に応じ追肥をする。 | ◇日当たり、水遣り、天候などによる生長の違いを観察する。 ◇天候に合わせて芽の生長を助ける手立てを講じる。 ◇発芽し間引きが必要なものは何か、なぜ必要なのかを考えさせる。 ◇栄養は足りているか追肥は必要かなど、よりよく育つ方法を話し合う。 ◇料理の献立を考えておく。 〔肥料〕 | |
4時間目 | 収穫しよう① | |
出来上がった作物を収穫する。 | ◇夏野菜を収穫し早く生長する野菜に注目する。 ◇簡単な調理や処理をしてみる。 ◇収穫量を把握し記録をとる。 〔スコップ、野菜コンテナ、調理道具〕 | |
5時間目 | 観察しよう② | |
上手に育っているか被害はないか。 | ◇害虫・害獣による被害とその対策、農薬散布の必要性とそのメリット、デメリットについて話し合う。 ◇作物の生長の度合いによって間引きの有無を検討する。 ◇料理の献立を考えておく。 〔農業薬品〕 | |
6時間目 | 収穫しよう② | |
出来上がった作物を収穫する。 | ◇すべての作物を収穫する。時間をかけて育てた収穫物に感謝し自らいただく。 ◇収穫量を記録する。 ◇簡単な調理や処理をしてみる。 〔スコップ、野菜コンテナ、調理道具〕 | |
7・8時間目 | 販売してみよう | |
販売計画 | ◇第1時間目の目的と関連させて、ただ販売するだけでなく、地域のよさを再認識したり、地域の課題を解決するために販売するとよい。 ◇なぜ名産品なのかを伝える。 ◇特徴、キャッチコピーを考え、売れる方法を考える。 ◇どこで、どうやったらより売れるのか話し合う。 ◇子どもたちで値段を決めるために地域の農家やスーパー、道の駅、直売所などを調査しアドバイスをもらう。 ◇得られた収入は何のために使うのか。 | |
9・10時間目 | 売ってみよう | |
店頭販売 | ◇担当、役割を決め店頭に立ち実際に売ってみる。 ◇数量を決め、売り切るようにし達成感を皆で共有する。 〔販売促進グッズ〕 | |
11・12時間目 | 計画をたてよう | |
今期の反省と来年の計画をたてる。 | ◇来期の作物は連作を避けるなど今期収穫後の土つくりにも影響するため来期の展望を話し合う。 ◇計画通りだったこととそうではなかったことを比べ発表する。 ◇地域ではこの品種がなぜ名産品になったのかを考え話し合う。 ◇コンテスト形式(大きさ、形、重量、色など)で年度ごとに競う。例えばミニトマトの1タネから何個の実がつくか、オバケカボチャの重量を競うなど。 ◇計画を立てる際に、学習活動に関わった人や購入してくれた人からのフィードバックがあると望ましい。 |
● その後の展開例等
- 実際に子どもたちが育て収穫した作物(ジャガイモ、タマネギ、ニンジン)を自社の販売店内で各2〜3個程度を1袋にして「野菜セット」として100円/袋で販売した。
- 子どもたちが自らの手で販売し、2時間で用意した100袋を売りつくした。
- 最後の1袋を売り上げた瞬間に自然に歓声が上がり、拍手が沸いた。
- 子どもたちは積極的にお客様に駆け寄り、セールスをしはじめ、声を上げていた。
- 自然と、高学年が中学年へアドバイスをしたり、販売促進のための道具がほしいといってきたり、積極性がみられた。
● 地域で実践するときの補足情報
- 講師として地元農家に協力していただき、アドバイスをいただけると地域コミュニティがつくられるのではないか。
- 道の駅や産地直売所などと連携し、販売場所にさせてもらうこともできるのではないか。
- 自社職員による講師派遣を協力できる。(恵庭市、札幌市など近郊地域限定 要相談)