一人ひとりのエコが地球の未来を救う!
~エネルギーと品物の一生を考えた品物の選び方・使い方・捨て方~

このプログラムは、「グリーン購入ネットワーク(GPN)」のプログラムを基にしています。」

● プログラムの目標環境問題と普段の行動のつながりに関心を持ち、環境問題の中からエネルギーの使用とCO2の排出、地球温暖化のつながりを知り、環境に配慮した行動を決めるために意識すべき考え方と意思決定方法を学ぶ。環境に配慮した行動にはエネルギーと品物の一生を考えて評価し、選択可能な行動間で比較し、品物の選び方(買い方)・使い方・捨て方を工夫することが必要であることを認識する。
● プログラムの概要レジ袋とマイバッグを例にして環境配慮行動の考え方を学ぶ。レジ袋とマイバッグ単体(品物)の比較と、その選び方・使い方・捨て方(行動)の比較では、環境負荷が異なることを認識する。レジ袋とマイバッグの比較は、生徒が自分の意見を発言しやすく、環境配慮行動を提案しやすい内容であり、最後に、ライフサイクル思考(使用回数や選び方、使い方、捨て方)によって「常にマイバッグの環境負荷が小さいわけではない」という意外性のある結果を定量的に確認できる。日常生活から見えにくい原材料調達、製造、輸配送、リサイクル・廃棄処理等を知ることにより、環境配慮行動には品物の一生を考えた、暮らし方の工夫が必要であることを認識する。

● 学習指導要領との関連

学年教科・領域学習内容
中学校1~3年総合的な学習の時間(5)目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じて,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題,地域や学校の特色に応じた課題,生徒の興味・関心に基づく課題,職業や自己の将来に関する課題などを踏まえて設定すること。
中学校1~3年技術・家庭(家庭分野)2 C 消費生活・環境
(2)消費者の権利と責任
ア 消費者の基本的な権利と責任,自分や家族の消費生活が環境や社会に及ぼす影響について理解すること。
イ 身近な消費生活について,自立した消費者としての責任ある消費行動を考え,工夫すること。
中学校3年理科(第1分野)(第2分野)2 (7)科学技術と人間
ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(イ) 自然環境の保全と科学技術の利用 
㋐ 自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。

2 (7)自然と人間
ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,自然環境を調べる観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(イ) 自然環境の保全と科学技術の利用 
㋐ 自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。

● SDGsの要素

環境問題と消費行動のつながりに関心を持ち,品物の選び方(買い方)・使い方・捨て方の工夫を考える。
地球温暖化のしくみや原因を学び,二酸化炭素排出量の多い行動について検討する。

● ESDの要素

二酸化炭素の排出や地球温暖化への理解を深め,自分たちが環境に配慮した行動をとる必要があることを認識する。
レジ袋とマイバックの使い方・選び方によって環境負荷が異なることに気づき,環境に配慮した行動を学ぶ。
限りある資源を有効活用するために,二酸化炭素排出量を算出したり,自分たちにできることを話し合ったりする。

ESDの能力・態度

日常生活で使用する品物と,製造,輸配送,原材料の調達,リサイクル・廃棄処理等を関連づけて捉える。
自分や家族の消費行動を見直し,環境への配慮について工夫しながら快適に暮らす方法を考える。
ライフサイクル思考などのさまざまな見方により,意外性のある結果を定量的に確認する。

● プログラム(単元・題材)の展開の流れ

4時間

活動、学習内容指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物)
1時間目レジ袋とマイバッグ環境によいのはどっち?
考える1: 質問1「レジ袋とマイバッグで、どちらが環境に良いと思うか、その理由は何か」を考える。
話し合う1: 質問2「レジ袋とマイバッグの使い方」に対してアドバイスする。各班で話し合い、発表する。
製品の環境影響を比較する場合、製品単体(質問1)ではなく、使い方を考えて(質問2)比べることに気づく。
話し合う1: レジ袋とマイバッグの使い方に関する相談者に対して、生徒がアドバイスを考える。
Aさん「いつもレジ袋をくり返し使います。ちょっと穴が開いたらごみ袋にしています。」
Bさん「エコなので、マイバッグを買いました。でも半年で破れたので捨てました。そして、新しいマイバッグを買いました。」
2時間目レジ袋とマイバッグ環境によいのはどっち?

考える2: レジ袋とマイバッグの比較について、質問1(品物単体の比較)では考えず、質問2(行動の比較)で考えたことは何かを確認する。
話し合う2: レジ袋とマイバッグを比較する時に気をつけることを各班で話し合い、発表する。

話し合う2:「買い物袋」という同じ役割をするレジ袋とマイバッグの環境影響を比べる時に気をつけることは、①使い方、②使用回数(期間)、③捨て方(レジ袋をごみ袋に使う等)であることを整理する。
3時間目レジ袋とマイバッグの一生について考えよう
ふりかえる: レジ袋とマイバッグを比較する時に気をつけることを確認する。
知る: 地球温暖化の現象としくみ、原因を知る。レジ袋とマイバッグとごみ袋の一生の出来事と、その時に排出されるCO2量を知る。
話し合う1:レジ袋とマイバッグとごみ袋の使い方が異なる生活パターンのCO2排出量を推定して、CO2排出量が多い順に並べ替える。並べ替えた結果と理由を各班から発表する。
レジ袋とマイバッグとごみ袋の一生を知り、日常生活から見えない出来事を知る。
知る:地球温暖化の現象としくみ、原因を説明する。
(参考:こども環境白書2013
地球温暖化は、ここでの主要課題ではないが、個人の取組と地球全体で起こっていることを関連付けられるよう促す。レジ袋とマイバッグとごみ袋の一生のうち、製造や廃棄などのどの段階でCO2が出ているのかを説明する。製造や廃棄の段階でなぜCO2が出るのかを説明する。全体に、問いかけながら説明する。
話し合う1: レジ袋とマイバッグを比較する時に気をつけることをふまえて、公平に比較できるように「1週間に買い物を100Lする。ごみ袋を使ってごみを100L出す。」と仮定し、異なる生活パターンのCO2排出量を計算することを説明する。
4時間目使い方で変わるレジ袋とマイバッグのエコ
知る: レジ袋とマイバッグの使い方が異なる生活パ
ターンのCO2排出量の算出方法と結果を知る。
話し合う2: CO2排出量を減らすために、私たちが
できることは何かを話し合い、各班から発表する。
行動に移す:自分ができる行動を考え実行する。
説明: レジ袋とマイバッグの使い方が異なる生活パターンのCO2排出量の算出方法と結果を説明する。
話し合う2: 各班の意見と、CO2排出量の計算結果から、CO2排出量を減らすにはより長く買い物袋を使うことと、ごみを減らす(ごみ袋を使う量が減る)ことを整理する。

● その後の展開例等

「レジ袋とマイバッグ 環境によいのはどっち?」「レジ袋とマイバッグの一生について考えよう」「使い方で変わるレジ袋とマイバッグのエコ」の応用編として、プログラムを実施した後、下記の4つの課題から1つを生徒に選択させ、生徒個々、或いはグループで考えた行動実践に結びつける。

  • 「ペットボトルの水と水筒の水を比べる」ペットボトルの水と水筒の水について、買い方・使い方・捨て方を考えて環境影響を比較し、環境によりよい行動に結びつける。
  • 「エネルギーの上手な使い方を考える」電力のピークカットと節電、CO2排出量削減のための暖房器具の選び方・使い方・暮らし方という視点から暖房器具の上手な使い方を考え、実際に各家庭で実践する。
  • 「品物の一生にかくれたCO2を考える」食品、日用品、家電、交通という分類のカードを使ったカードゲームを通じて、様々な品物のCO2排出量を知り、CO2排出量が少ないものを選ぶ方法やCO2排出量を減らす行動を考える。
  • 「買い物から社会を変えるグリーン購入」みんなが買い物の時に環境を考えて品物を選ぶと、選んだ品物の人気が出て、世の中に広がり、品物の作り方・売り方(社会)を変えることを考える。
    ※グリーン購入とは、「買い物の時に、まず必要かどうかを考えて、必要な時は環境のことを考えて、環境負荷ができるだけ小さいものを買うこと」です。

● 地域で実践するときの補足情報

品物や行動の比較に定量的な情報が必要な場合、グリーン購入ネットワーク(GPN)にお問い合わせください。下記の情報を提供できます。

  • 「レジ袋とマイバッグを比べる」のレジ袋とマイバッグの使い方が異なる生活パターンのCO2排出量(定量的情報)のデータ
  • 「同じ役割の異なるものの環境影響を比べる」時のポイントをまとめた資料
  • 「ペットボトルの水と水筒の水を比べる」のペットボトルと水筒の一生のCO2排出量、水道水・国産ミネラルウォーター・輸入ミネラルウォーターの一生のCO2排出量のデータ
  • 「エネルギーの上手な使い方を考える」の電気・ガス・灯油の一生と地球温暖化。様々な暖房器具の消費電力・CO2排出量の違い(定量的情報)
  • 「品物の一生にかくれたCO2を考える」のカードゲームを実施される場合、別途問合せにより対応。