サモアから学ぶESD

このプログラムは、「兵庫県立北須磨高等学校」のプログラムを基にしています。

目標サモアの伝統的な住居、料理、服装などを写真で紹介し、暑さを防ぐための工夫や特徴、地産地消の意味などを考え学ぶ。
②サモアのごみ問題、電力問題をとりあげ、日本の都市部や大量生産大量消費型の生活様式と比較して、問題点を検討する。
③伝統料理、高層ビル、発電方法など、サモアと日本の様々な要素を「持続可能かどうか」の視点で分け、それがサモアのものか日本のものか確認することで、持続可能な発展のために何が必要かを考える。これからの暮らしや開発の在り方について考える。
● 概要伝統的な生活様式を残すサモアを取り上げ、日本の生活や文化、課題などと比較・考察することにより、今までと違った視点に立ってものを見る力を養うことをねらいとしている。具体的にはサモアの伝統的な住居、料理、服装から、地産地消の意味、サモアのごみ問題、電力問題をとりあげ、日本の都市部や大量生産大量消費型の生活様式と比較して、問題点を検討する。そこから日々の生活を見直し、省エネルギーの工夫や環境問題への認識を高め、持続可能な社会の実現をめざす。

● 学習指導要領との関連

学年教科・領域学習内容
中学校1〜3年総合的な学習の時間(5)目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じて,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題,地域や学校の特色に応じた課題,生徒の興味・関心に基づく課題,職業や自己の将来に関する課題などを踏まえて設定すること。
中学校3年理科(第1分野)2 (7)科学技術と人間
ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(イ) 自然環境の保全と科学技術の利用 
㋐ 自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
中学校1〜3年技術・家庭(家庭分野)2 B 衣食住の生活
(7)衣食住の生活についての課題と実践 
ア 食生活,衣生活,住生活の中から問題を見いだして課題を設定し,その解決に向けてよりよい生活を考え,計画を立てて実践できること。
中学校3年社会(公民的分野)2 D 私たちと国際社会の諸課題
(2)よりよい社会を目指して
持続可能な社会を形成することに向けて,社会的な見方・考え方を働かせ,課題を探究する 活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。 
ア 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を多面的・多角的に考察,構想し,自分の考えを説明,論述すること。

● SDGsの要素

サモアのごみ問題,エネルギー問題などから,地球全体の未来を多面的,総合的に考える。
サモアの伝統的な住居,料理,服装と日本のものを比較し,「持続可能かどうか」という視点で捉える。
一つの国だけで問題解決するのは難しい場合があることを学び,さまざまな国や地域のつながりを尊重する姿勢をもつ。

● ESDの要素

サモアの伝統的な文化を知ることで多様な価値観や文化を学び視野を広げることができる。
サモアについて調べることで島嶼国の土地や資源の有限性について考えることができる。
ごみや資源についてサモアと日本を比較検討する事を通して、一人ひとりが責任をもって行動することの必要性を学ぶ。

● ESDの能力・態度

サモアの文化と比較することで日本だけでなく地球全体の未来を予測し考えられるような能力・態度を育成することができる。
日本と比較することでサモアが置かれている状況について多面的、総合的に考える力を育成できる。
グローバル社会では、一つの国だけで問題が解決することは無いことを学び、様々な国や地域のつながりを尊重する態度を育成できる。

● プログラム(単元・題材)の展開の流れ

8時間

活動、学習内容指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物)
1時間目1 パパラギの本を読んでみよう。
2 どこの国の話だろう?
3 サモアについて知ろう。
1「パパラギ」という本を読み、グループ毎に感じたことを話し合い、どこの国の話か予想する。
2サモアの酋長が西洋文明を批判した話だと知る。
3サモアの位置や人口を調べ、どんな暮らし方をしているかグループで予想を立てる。
〔パパラギの本から「たくさんのものがパパラギを貧しくしている」の部分の抜粋〕
*編著者の前書き(抜粋)を読みサモアの酋長ツイアビの話であることを知らせる。
〔サモアの位置が確認できる地図と簡単な統計資料〕
2時間目サモアについて理解を深めよう調べよう

1 サモアに関する〇Xクイズを行う。
2 サモアに行った経験がある人から話を聞きながら〇Xクイズの答え合わせをする。
3 興味を持ったテーマについて、さらに詳しく調べてみる。

〔サモアクイズ〕
〔サモア経験者〕JICAの職員等
〔写真、インターネット〕
・パソコンを使い、随時インターネットによる情報収集ができるように配慮する。
3時間目1 サモアについて更に詳しく調べたいことを決めよう。
2 テーマについて調べよう。
1 サモアに関する〇Xクイズを行う。
2 サモアに行った経験がある人から話を聞きながら〇Xクイズの答え合わせをする。
3 インターネットでサモアについて調べてみる。
4 グーグルアースでサモアに飛んでみる。
(詳しく調べるテーマ)5つ以外でも可
① サモアの衣
②サモアの食
③ サモアの住
④ サモアのごみ問題
⑤ サモアのエネルギー
〔パパラギの中でテーマに関係する部分、インターネット〕
4時間目テーマについてサモアと日本との違いを
「持続可能性」という観点から比較してみよう。
 
グループのテーマについて「持続可能性」という観点から比較し、日本がサモアから学べることをまとめる。〔比較に必要な統計資料、パソコン、インターネット〕
〔写真〕
5時間目発表準備をしよう。
模造紙かパワーポイントで発表資料を作る。〔パソコン、インターネット、写真〕
〔資料〕
6時間目1 グループ発表をしよう。
2 感想を発表しよう。
1 グループ毎に調べた内容を発表してもらう。発表を聞きながらメモをとる。

2 思いを共有する。
〔発表の記録用紙、パソコン、インターネット、プロジェクター〕
7時間目発表を基に、「持続可能性」についてまとめよう。
1 サモアと日本の持続可能なものと持続不可能なものを分ける。

2 持続不可能なものについては、どうすれば持続可能になるかを検討する。
◇できるだけ多くの項目について検討する。
〔インターネット、写真、資料〕 【関連】
◇初めは、各自で検討し、次にグループで検討してもらう。
〔資料〕 【関連】【多面】
8時間目日々の生活を持続可能性の高いものに見直してみよう。
1 各グループの発表を参考にして、今までとは違った価値観から普段の生活を見直してみる。

2 持続可能な生活をするために具体的にどのようにするか自分なりの行動計画を決める。

3 互いに発表し合い、思いを共有し実行を促す。
◇多様な価値観や幸福感が存在することを知り、そこから普段の生活を見直し、自分ができる行動を考え実行を促す。
〔インターネット、写真、資料〕 【関連】
【未来】【多面】



【多面】【伝達】

● その後の展開例等

  • 開発途上国への支援・援助の方法について具体的に検討してみる。
  • 衣・食・住・ごみ・エネルギー・幸福感の6テーマについて学習後も継続して興味を持ち続けられるように事後指導する。

● 地域で実践するときの補足情報

  • サモアに関してはJICAが様々な情報を持っている。特に教師海外研修の報告書を参考にすると、授業実践について詳しい情報を得ることができる。
  • JICA国際協力出前講座を活用すると、サモア経験者に講演してもらえる。