動物になって考えよう!
せかい・動物かんきょう会議ワールドカフェ

このプログラムは、 『株式会社ヌールエ デザイン総合研究所 「動物かんきょう会議プロジェクト」』のプログラムを基にしています。

● 目標①世界には多様な人々がいて、多様な生活習慣や文化・考え方があることを知り、それを伝え合うことができる。
②多様な人々がいる世界の中で平和に暮らしていくためには、何が問題か・大切かを考え、自分たちで行動していかなければならないことを理解する。
③自分の身近な地域にもさまざまな問題があることを知り、その問題を解決しようとする態度を育む。
● 概要「動物になって地球をもっと見てみよう」というコンセプトで、人間から動物へと視点を変えることによって、他者を尊重し多様性を認めながら、地球環境や課題解決について考えます。児童は、各動物キャラクターの出身国の生活習慣や文化を調べ、さらに各キャラクターの性格や発想の傾向を理解し、動物キャラクターになりきる準備をします。そして「3R」をテーマにワールドカフェ形式で話し合い、「動物宣言」として発表します。そして、その経験をもとに、地域環境を調べ、地域のキャラクターを作りながら、地域の問題の発見や解決の方法を考えます。

● 学習指導要領との関連

学年教科・領域学習内容
小学校6年社会
(3)グローバル化する世界と日本の役割について,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。 
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活は,多様であることを理解するとともに,スポーツや文化などを通して他国と交流し,異なる文化や習慣を尊重し合うことが大切であることを理解すること。
(イ) 我が国は,平和な世界の実現のために国際連合の一員として重要な役割を果たしたり,諸外国の発展のために援助や協力を行ったりしていることを理解すること。
(ウ) 地図帳や地球儀,各種の資料で調べ,まとめること。
小学校5〜6年道徳2 B 主として人との関わりに関すること
[感謝]
日々の生活が家族や過去からの多くの人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し,それに応えること。 
[相互理解,寛容]
自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を尊重すること。

2 C 主として集団や社会との関わりに関すること
[公正,公平,社会正義]
誰に対しても差別をすることや偏見をもつことなく,公正,公平な態度で接し,正義の実現に努めること。
[国際理解,国際親善]
他国の人々や文化について理解し,日本人としての自覚をもって国際親善に努めること。
小学校5〜6年総合的な学習の時間(5)目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じて,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題,地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題,児童の興味・関心に基づく課題などを踏まえて設定すること。

● SDGsの要素

各国の政治的状況や貧困・治安などを調べ,世界で起こっている問題に対して主体的に解決策を考え,表現する。
自分以外の人の立場に立って物事を考え,多様な意見交換をする活動から,公平・公正な心と相手を尊重する姿勢をもつ。

● ESDの要素

世界の国の多様な文化やライフスタイル、人の考え方の多様性を知ることができる。
世界の国の生活習慣・文化などを調べ、日本の生活は他国との相互関係によって成り立っていることを理解する。また、私たち人間もお互いに関わりながら生活していることも理解する。
世界の国から集まった多様な立場の動物キャラクターになりきって会議に参加することや地域の方々とかかわることを通して、多様な価値観に満ちた国際社会・地域社会の中で、自分たちが課題解決をしなければならないという責任と自覚を促す。

● ESDの能力・態度

多様な価値観をもつ人間同士が共存するために、どのような社会づくり、関係性づくりが大切かを自ら発見する姿勢を育む。
動物になって考えるという、通常とは違う立ち位置で話し合うことで、多面的な見方ができ色々な立場が分かり、その立場からの意見を述べることができる。
ワールドカフェでは、その手法に基づき、他人の考えをしっかり聞き、自分の意見をしっかりと伝えることができる。また、動物宣言では、自分の考えや行動を簡潔に人に伝えることができる。

● プログラム(単元・題材)の展開の流れ

12時間

活動、学習内容指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物)
1時間目「知っている国はどこ?—6人のお客さん—」
○世界地図を見ながら、知っている国を出していく。
○いろいろな国から来た、6人のお客さんからのメッセージがあることを知る。
○お客さんたちの国の挨拶、有名観光地の写真などからその国がどこなのか推測する。
○お客さんのメッセージが、「動物かんきょう会議」で動物たちの代わりに各国代表となって議論をしてほしいことだと知る。
○DVD「動物環境会議」を見て、“ 3R”について知っている事を話し合う。
◇児童に知っている国名を板書させる。
◇児童に5人のお客さんからメッセージが届いている事を告げて、お客さんが来た国の情報を提示する。
◇議論した国を地球儀で探し白地図に位置を記させる。
◇6人のお客さんが来た「動物かんきょう会議」とは、世界各国の動物がその国の問題をもちより議論をする世界であることを説明し、議論がまとまらないため、児童に各キャラクターの立場にたって議論に参加し解決してほしいということを告げる。
◇議論の元となるDVD「動物かんきょう会議」のアニメから『笛吹き男』の回をみせ“ 3R”について児童の意見を聞く。※1、※2
〔地球儀、白地図、観光地の写真、各国の挨拶の言葉を書いたプレート〕
※1
なお、プログラムのモデル化に当たっては、子どもたちに「3R」への関心を喚起する導入部分として、アニメシリーズから第9話「笛吹き男」を公式サイトで無償ダウンロードできる。
※2
アニメが手に入らない場合は、絵本マガジン「動物かんきょう会議」シリーズから第2話『発明で解決ゴミ問題!』を読む。
2~4時間目「世界の国の人の暮らし」—キャラクターはどんな人(動物)?—

○「動物かんきょう会議」に登場するキャラクターごとにグループにわかれ、キャラクターの言動を参考にそのキャラクターがなぜアニメや絵本のような発言をしたのかを推測していく。
○キャラクターの出身地が、その国の環境問題などの背景となっていることもあるため、キャラクターが置かれている状況などもあわせて調べる。
○各々で考えたキャラクターに対する思いを班の中で議論し思いを共有化する。
○キャラクターについて調べた内容を班でまとめる。
○協力して模造紙に書き出し、発表する。

◇5人のキャラクターの5つのグループに児童を編成する。
◇児童にはキャラクターの人柄を読み解く事にとどまらず、その国の政治的状況や貧困・治安・文化など多面的に調べさせ、今後おこなわれる「ワールドカフェ」での議論の手掛かりとなる情報を集めさせる。
◇前時までに調べたキャラクターのパーソナリティーや暮らす国の様子、今起こっている問題など、調べた事を班の中で話し合い、模造紙にまとめさせる。
◇自分の生活との違いや、世界には多様な人々がいることを気づかせる。
〔キャラクターになりきるためのお面※3〕
※3
動物キャラクターになりきるためのお面を公式サイトから無償ダウンロードできる。
5~7時間目「ワールドカフェ」—世界の人の立場に立って話し合う—
○再度アニメシリーズ「動物かんきょう会議」“ 3R”の回を見てキャラクターになりきる準備をする。
○「ワールドカフェ」の説明を聞き、ルールを理解する。
○自分の班のキャラクターに成り代わり「動物かんきょう会議」をおこなっていく。
○“ 3R”の議論をとおして環境問題の理解を深めていく。
○「ワールドカフェ」でわかった事を班毎にまとめ、解決策を「動物宣言」として発表する。
○世界中にある様々な問題を整理する。
◇調べ学習を行ったあとに、最初にみせたアニメ(絵本)を再度みせて、何を感じたか考えさせ、これから行う議論ために頭の整理をさせる。
◇ワールドカフェ形式を使い、他の人の立場に立って物事を考えることを体験させる。※4
◇児童同士にも多様な意見があることを知り、相手を尊重する事を学ばせる。
◇自分の考えや解決策が簡潔でわかりやすい宣言を考えさせる。
◇ワールドカフェを振り返り、感想や議論で出た様々な問題を整理させる。
〔キャラクターになりきるためのお面〕
※4
ワールドカフェ形式とは、“カフェ ”にいるようなリラックスした雰囲気のなか、参加者が少人数に分かれたテーブルで自由に対話を行い、ときどき他のテーブルとメンバーをシャッフルしながら話し合いを発展させていくこと。相互理解を深め、集合知を創出していく組織開発の手法です。
[ワールドカフェネット http://world-cafe.net]
8~9時間目身近な問題の調査—フィールドワーク—
○自分たちの身近に、ワールドカフェで話し合ったような問題がないかを出し合う。
○家族に聞いたり、地域の人にインタビューしたりして、身近な環境やその他の問題をグループで整理する。
○問題点やその対策をまとめ発表する。
○自分たちの地域の問題や解決策を動物かんきょう会議に持っていくためにキャラクターを作成する。
◇児童には、ワールドカフェで考えた事を地域の視点で見つめ直させ、より自分ごととなるように考えさせる。
◇インタビューした内容を検討し、その対策を考えさせる。
◇「動物かんきょう会議」の仲間となる、地元を代表する楽しい動物キャラクターを考えさせる。
10~12時間目身近な問題に取り組もう—新しいキャラクターを作ろう—
○地域の問題に取り組む行動として、自分たちが考えたキャラクターを使った地域の改善策を考える。
・ポスター
・お話作り
・インターネットでの呼びかけ など
○キャラクターを使い調べたこと、地域の問題の解決策を地域の方々に「地域の動物宣言」として発表する。
◇考えたキャラクターをうまく利用して地域の問題を解決する方法を考えさせる。
◇キャラクターのお面を作ってそれを使って発表させてもよい。
〔ポスター・パソコン他〕

● その後の展開例等

  • 「3R」以外に、「森」「食」「エネルギー」「クルマ社会」などをテーマにすることができる。
    詳細な実施事例は公式サイトを参考のこと。

● 地域で実践するときの補足情報

●「動物かんきょう会議」公式サイトから視聴、各種ダウンロードができる。

●アニメシリーズ「動物かんきょう会議」は結論がない問題提起型のコンテンツ。議論の導入部に使用できる。「3R」以外の別のテーマで実施することも可能。NHK DVD教材「動物かんきょう会議」アニメシリーズ(1話5分全20話)を別途購入することができる。

●絵本マガジン「動物かんきょう会議」シリーズの各巻のテーマは、第1話「森」、第2話「ゴミ」、第3話「クルマ」、第4話「エネルギー」となっている。絵本教材を購入することも可能。