わくわく郷土たんけん隊
ー昔の暮らしと今の暮らしをくらべよう!

● 目標①郷土や環境に対する価値観をひろげ、先人の暮らしや技術を尊重する心を身につける。
②昔の暮らしは今の暮らしと比べて自然の力を上手に利用してきたことを理解及び経験し、少ないエネルギーや資源で生活する先人の生活の知恵や技術を学ぶ。
③生活の知識や技能を学ぶことを通して、郷土の生活や文化を保全に向けた取組へと、子ども自身が活発に関わり合うことを目標とする。
● 概要郷土の自然・歴史・文化について絵本などの視聴覚教材、及び昔のものや道具を利用して、第2次世界大戦後の高度経済成長や都市化などを経た「昔」と「今」の暮らしの違いについて、先人から直接学ぶ。さらに、昔と今の暮らしを比較する際の視点として、持続可能な社会構築に向けた「豊かさ」について体感するため、昔の暮らしに関する知識や技能を実際に体験する。さらに「昔の暮らしにおける不便さを補うための自然の力」をテーマに、グループに分かれて地域調査を行う。最後に、地域調査の結果を踏まえ昔と今の暮らしを比較することで、郷土の生活や文化を保全するために、「いまわたしたちにできること」を全体で話し合う機会を提供する。

● 学習指導要領との関連

学年教科・領域学習内容
小学校3〜4年社会3年 2
(4)市の様子の移り変わりについて,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。 
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 市や人々の生活の様子は,時間の経過に伴い,移り変わってきたことを理解すること。
(イ) 聞き取り調査をしたり地図などの資料で調べたりして,年表などにまとめること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 交通や公共施設,土地利用や人口,生活の道具などの時期による違いに着目して,市や人々の生活の様子を捉え,それらの変化を考え,表現すること。

4年 2
(4)県内の伝統や文化,先人の働きについて,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 県内の文化財や年中行事は,地域の人々が受け継いできたことや,それらには地域の発展など人々の様々な願いが込められていることを理解すること。
(イ) 地域の発展に尽くした先人は,様々な苦心や努力により当時の生活の向上に貢献したことを理解すること。

● SDGsの要素

昔は自然の力を利用し,少ないエネルギーや資源で生活してきたことを知り,先人の知恵や技術を学ぶ。
昔と今の暮らしを比較することで,郷土に対する価値観を広げ,町の暮らしを守る責任と義務を自覚する。

● ESDの要素

郷土の暮らしを成り立たせる資源には限りがあり、昔も今も限りある資源を活用して社会を成り立たせなくてはならない。
郷土の暮らしを支えるのは、昔も今もそこに生活する人々であり、各人が互いに協力して社会を成り立たせなくてはならない。
郷土に対する価値観をひろげると共に、郷土の暮らしを守るための責任と義務を自覚しなくてはならない。

● ESDの能力・態度

昔と今の暮らしの違いの比較を通じて、自分の考えを他者に伝えることが出来る。
昔の暮らしの立場・社会状況を振り返り、昔の暮らしの良さを考えて行動することが出来る。
昔と今の暮らしを比較することを通して、昔の暮らしを尊重し大切にしようとする態度を養うことが出来る。

● プログラム(単元・題材)の展開の流れ

12時間

活動、学習内容指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物)
1時間目昔の暮らしを知ろう  
昔の暮らしについて学ぶ。◇昔と今の「もの・道具」から、昔の暮らしについて教わり、今の暮らしと比較して違いを考える。
〔木桶/洗面器、草鞋/靴、など、付箋〕
2・3時間目昔のひとってどんな「ひと」?

昔の暮らしについて、地域の人から直接お話を聞く。

◇郷土の自然・歴史・文化について絵本やビデオなどの視聴覚教材を利用して、地域の方から教わる。
〔絵本やビデオなどの視聴覚教材〕
◇グループに分かれて、教わったことから自身が考えたこと・興味を持ったこと(暮らし、人や歴史など)について話し合う。[グループ活動]〔付箋〕
4・5時間目昔の暮らしを理解しよう
郷土の生活の知恵にちなんだ体験活動を行う。◇地域の自然環境や歴史・文化などの特性に従いテーマを設定し、体験型学習(例:草鞋づくり、薪を使った調理、漬物づくり)に取り組む。
〔地域教材、付箋〕
6時間目人と自然、人と人のつながりを知ろう
地域にあるエネルギーや資源とその利用方法を事前に学ぶ。◇郷土の生活には、自然と人、人と人が繋がり、循環して社会が構成されていることを理解するため、まずは昔と今の暮らしにおけるエネルギーや資源の循環、活用方法や相違点を教わる。
〔教科書、書籍、ホームページ等、付箋〕
7~9時間目わくわく郷土をたんけんしよう!
地域にあるエネルギーや資源を調査する。◇グループに分かれて、地域調査を行う。「歴史・生活・自然を感じた場面」や「自然の力を利用して生活している場面」など具体的な調査テーマを与える。
〔調査ツール(バインダー、ペン、調査シート等)、付箋〕
10・11時間目みんなで守ろう、ぼくたち、わたしたちの地域
地域の課題に対応して、実際に行動する。◇探検をして学んだ事を事例に、グループ毎にどんなことに取り組むことが出来るのかを話し合う。
◇あらかじめ用意した地域の課題に沿ったアクション(例:祭礼に必要な草鞋等づくり体験、薪調達に係る間伐体験、耕作放棄地の手入れ等)を行う。
〔地域教材、付箋〕
12時間目ぼくたち、わたしたちにできることってなんだろう?
学んだことを振り返り、共有する。◇生活に関する知識や技能を学んだことを通して、郷土の生活や文化を保全に向けた取組へと、子ども自身が活発に関わり合うこと目指し、話し合う時間を設ける。[ディスカッション]
◇アクションに関わった地域の人にも参加してもらって、いっしょに話し合い、次年度の取り組みの構想を共有する。
〔付箋〕

● 地域で実践するときの補足情報

  • 本活動のポイントとして、先人の知恵や技術を学び、尊重する心を養うことを目的とするため、なるべく地域住民との連携体制を整え、共同活動を推奨する。
  • 地域活動の受け入れと活動の種類によっては、十分な安全管理と、それに伴う人員の配置を行うこと。自然学校などの体験型学習に特化しているところがあれば、活動をそのまま委託しても良い。
  • 地域色が強いプログラムの、他の教材での展開可能性も考えられる。
  • この活動は、「茅葺家屋」をテーマ・教材として展開した。茅葺き体験を行い、茅の結い方、古茅の再利用などを学んだ。茅葺家屋の保存のため、屋根の材料となる茅の植生を行った。古茅を堆肥にして作った農作物(赤かぶ)の収穫体験を行った。