力を合わせて絵本作家になろう!

このプログラムは、 「多摩市立連光寺小学校」のプログラムを基にしています。

● プログラムの目標①体験・観察で学んだことを共同で絵本にして表現する。
②友達と意見を交流しながら、地域の環境に関する見方・とらえ方をゆたかにしていく。
③環境と自分とのつながりを考えつつ、地域への働きかけができるようにする。
● プログラムの概要子ども達が、地域における体験や観察で学んだことを、絵本にする。作業は、自由に意見交換し、役割を分担して担い、各自が責任を果たしながら共同で行う。絵本にする為に色々な角度から見つめ直すことで、学んだことの理解を深め、効果の持続性を高める。

● 学習指導要領との関連

学年教科・領域学習内容
小学校3年理科B 生命・地球
(1)身の回りの生物
身の回りの生物について,探したり育てたりする中で,それらの様子や周辺の環境,成長の過程や体のつくりに着目して,それらを比較しながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のことを理解するとともに,観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 生物は,色,形,大きさなど,姿に違いがあること。また,周辺の環境と関わって生きていること。
小学校3〜4年図画工作2 A 表現
(1)表現の活動を通して,発想や構想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 造形遊びをする活動を通して,身近な材料や場所などを基に造形的な活動を思い付くことや,新しい形や色などを思い付きながら,どのように活動するかについて考えること。

● SDGsの要素

学んだことを伝える活動を通して,将来の町づくりの担い手として地域へ働きかける姿勢をもつ。
絵本を制作しながら,地域に生息する生き物の視点で課題を見つけたり考えたりする。

● ESDの要素

グループで話し合いながら,体験・観察で学んだことを絵本に表現する。
身近な地域にすむ生き物の視点で周囲を観察し,生物多様性を実感するとともに,自然環境の大切さを学ぶ。
絵本制作では,意見を交換しながら役割を分担して,各自が責任を果たして進める。

● ESDの能力・態度

さまざまな生き物の視点やグループ内の多様な意見に触れることで,多面的・総合的にアイデアを創出する。
絵本制作を通して地域の課題と自分との関係に気づき,課題を解決するために必要なことを提案する。
物語全体の流れや文章について友達とチェックし合ったり,地域へ絵本を発表したりする。

● プログラム(単元・題材)の展開の流れ

12時間

活動、学習内容指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物)
1・2時間目「生き物の目」で地域を見つめ直そう
・地域に棲む生き物になって、地域の自然や暮らし等の課題を見つけよう。
・絵本を制作する意義と方法を知る。
・学校周辺の探検をして、地域の課題を見つける。
・地域に棲む小鳥やヤゴ等の目を借りると、自然・生活環境に関する様々な課題が見えてくることを理解させる。
・絵本にすることで、観察や体験したことを具体的に細かく見直す必要が出て来るため理解が深まる。
・身の回りの自然や暮らし等を観察したり体験したことを記録する。
〔観察ハンドブック・筆記用具・体験や観察で必要とするその他用具〕
3・4時間目絵本にする目的で体験や観察で学んだことを整理する。

・体験や観察で気付いたこと感じたこと思ったことを話し合いながら書き出す。

・体験し観察したことを発表するため絵本を作る事を提案する。
・体験した事、観察した事を項目毎に整理しながら、物語のストーリーを探し出させる。
・話し合いによって、同じことを体験し見ていても、人によって異なる見方や感じ方があることに気付かせる。
・意見の違いがあっても違いを乗り越えて話し合い物語を作るように支援する。
・書き出した内容を物語の構成要素ごとにカード化する。
[ポストイット、マーカー、模造紙、セロテープ]
5・6時間目物語をつくる
・分類した整理カードを物語になるように並べてみる。
・話し合いながら、作った整理カードを自由に入れ替えて物語の構想を練る。
・整理しなおすことで体験や観察したことと自分(人間)との関わりに気付く。
・作業を進める中でこれまでに出なかった言葉を加えてもよい。
〔ポストイット、マーカー、模造紙、セロテープ〕
7・8・9時間目物語の絵を描く
・物語のどの場面に、どんな絵を入れればよいかを話し合い、絵のイメージを決める。
・それぞれの絵を描く担当を決める。
・物語の内容を表現する題名と表紙の絵のイメージを決める。
・担当ごとに絵を描く。
・絵は、表紙を含めて手分けして各自が担当する。
・体験や観察したことで絵にする場面を決める。
・地域の課題と自分との関係に気づけるように支援する。
・絵のサイズや絵の具の種類を統一しておく。
[ストーリーを貼った模造紙、画用紙、ノリかセロテープ、絵の具]
10時間目絵と文章を組み合わせて完成する
・絵と文章を組み合わせる。
・作った絵を物語のストーリー順に並べて確認する。
・絵と言葉が合うように調整(言葉遣い、位置等)する。
・物語の流れがおかしくないか確認する。
・全員で全体を読み直す。
・絵と文章がマッチしているか、物語全体の流れと噛み合っているかを子ども同士でチェックさせる。
・作成の段階では絵本として製本するよりもパワーポイントに落とし込み、その画面を全員で見ながら作業すると効率的である。
[ハサミ、ノリ、厚紙、閉じヒモ]
11・12時間目地域の人に発表する。地域と交流する。
・出来上がった絵本を地域で発表する。
・課題を解決するために必要なことを提案する。
・地域に発表し、参加した人達の反応や感想を聞くことで、子ども達の視野を更に広める。
・学んだことを地域に反映する為には何か出来ることがあるか話し合う。

● その後の展開例等

  • 絵本を地域で発表することで、地域の人々から新たな情報や意見が寄せられる可能性がある。また、次年度の観察や体験内容を深めることにつながる。
  • 地域の人達は、絵本を見た事で学校や子ども達の取組みや思いを具体的な形で理解することになる。地域の大人は、子どもの発表や提案を聞いて、その思いや願いを実現できるような手だてを講じておくことが望ましい。

● 地域で実践するときの補足情報

  • 絵本のサンプルは、パワーポイントデータでの提供が可能。
  • プログラムの説明は、近距離の場合は無償で、遠距離の場合は旅費をご負担頂ければ対応可能。