みどりなライフ!
〜みどりのカーテンで始めよう身近なエコ活動〜

● プログラムの目標1. ツル性植物を協力して育て、植物の成長を季節、天候、気温、時間などと関係づけながら見守ることにより環境とのかかわりを考え、自然を愛護する態度を育てる。
2. 育てる過程で温度や気温を計ることにより、日なたと日陰の温度を比較しながら興味・関心をもって調べる力を養い、太陽エネルギーの大きさや建物が受け取るエネルギーについても気付く。
3. 緑のカーテンの効果を体感することにより植物の大切さに気付き、暮らしに植物を取り入れるなど環境に配慮した生活の実践ができるようにする。
● プログラムの概要緑のカーテンは、ツル性植物をカーテンのように仕立て、栽培することにより、夏季を中心に強い陽射しを和らげる効果がある。また、緑のカーテンを作ることにより、その効果を体感し、植物を通じて自然の恵みと働きを知ることができる。自然エネルギーの大きさや影響を見えるようにし、緑のカーテンから学んだ(自然から学んだ)ことを生活の中に取り入れ、環境に配慮した暮らしが実践できるようにする。

● 学習指導要領との関連

学年教科・領域学習内容
小学校3〜4年総合的な学習の時間(5)目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じて,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題,地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題,児童の興味・関心に基づく課題などを踏まえて設定すること。
小学校3年理科2 B 生命・地球
(1)身の回りの生物
身の回りの生物について,探したり育てたりする中で,それらの様子や周辺の環境,成長の過程や体のつくりに着目して,それらを比較しながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
イ 身の回りの生物の様子について追究する中で,差異点や共通点を基に,身の回りの生物と環境との関わり,昆虫や植物の成長のきまりや体のつくりについての問題を見いだし,表現すること。

2 B 生命・地球
(2)太陽と地面の様子
太陽と地面の様子との関係について,日なたと日陰の様子に着目して,それらを比較しながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
イ 日なたと日陰の様子について追究する中で,差異点や共通点を基に,太陽と地面の様子との関係についての問題を見いだし,表現すること。
小学校4年理科2 B 生命・地球
(2)季節と生物
身近な動物や植物について,探したり育てたりする中で,動物の活動や植物の成長と季節の変化に着目して,それらを関係付けて調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
イ 身近な動物や植物について追究する中で,既習の内容や生活経験を基に,季節ごとの動物の活動や植物の成長の変化について,根拠のある予想や仮説を発想し,表現すること。

● SDGsの要素

ツル性植物を活用して夏を涼しく過ごす緑のカーテンを知り,環境に配慮した暮らしを実践する。
植物を育てて緑のカーテンを作ることにより,その効果を体感し,自然の恵みを知る。

● ESDの要素

身近な植物と人間の関わり,その役割を考え,友達と協力して緑のカーテン作りに取り組む。
植物の成長を,季節,天候,気温,時間などと関係づけて見守りながら,自然環境や太陽エネルギーに気づく。

● ESDの能力・態度

温度を測定しながら実際に植物を育てることで,体験的に自然への興味・関心を高める。
緑のカーテンから植物の大切さに気づき,生活に植物を取り入れ,自然を愛護するよさを理解する。
ツル性の植物を育てるうえで,友達とどのように協力したり分担したりするとうまくいくかを話し合い,実践する。

● プログラム(単元・題材)の展開の流れ

12時間

活動、学習内容指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物)
1時間目植物と人との関係を考える
・アサガオ、ゴーヤ、ヘチマのタネを配布して、「このタネは何か?」「どのように成長するのか?」を予想する。
・身近な植物と人間の関わりとその役割について考える。
・栽培への意欲を高めるとともに、タネ一粒に秘められた生命力を手に取り感じさせる。
・衣食住の視点から植物と人間との関わりを考えさせる。
2時間目緑のカーテンの計画を立てよう

・ツル性植物を活用して夏を涼しく過ごすための緑のカーテンを知り、みどりのカーテンを作る計画を立てる。

・緑のカーテンの事例を紹介し、設置にふさわしい場所、方法を見つけ出せるように、カーテンの形や適した植物・カーテンのつくり方を指導する。
3・4時間目ツル性の植物を育ててみよう。
・みどりのカーテンを作る準備をする。
1. 土を準備する。
2. ポットの8分目まで土を入れ、先に水を十分、土に含ませる。
3. 2. に準備したタネを置き、覆土する。
・固いゴーヤ、ヘチマのタネは2日程浸水しておく。平均最低気温が20°C以上ないと発芽しにくいので、土の温度を25°C〜 30°Cにしてポットに新聞紙をかけておく。発芽するまでは、新聞紙の上から水分を補う程度にする。
・余ってしまった苗は地域の方に配布する。
〔畑の土(市販の培養土)、種、ポット等〕
5・6時間目緑のカーテンを作ろう。
・本葉が5〜6枚そろったところで定植し、緑のカーテンをつくる。
1. 花壇の準備
2. 土に水やり
3. ポットから苗を定植
4. 水やり
・世話の仕方を伝える。
・友達とどのように協力したり分担したりするとうまくいくかを話し合わせ実践させる。
7時間目みどりのカーテンを観察しよう。
・ツル性植物のそれぞれのツルの伸ばし方の違い・雄花と雌花があることに気付く。
・実のつき方を観察する。
・ルーペを使って観察させる。
・それぞれの植物によって葉の形、葉の表面の違い、ツルの伸び方、ツルの形状が違うことに気付かせる。
〔ルーペ〕
8時間目緑の観測隊になろう。
・完成した緑のカーテンの表と裏の温度、環境の違いを体感する。
・温度計で緑のカーテンの表と裏と、建物・地面などの日なたと日陰の温度と比較して測定し、記録する。
・体感を元に、計る場所の予測を立てて記録させ、温度差を数値で示させる。
・日なたと日陰の違いだけでなく、日差しを受ける物質の違いによっても太陽エネルギーの受け方が違うことにも気付かせる。
9・10時間目植物を暮らしにいかそう。エコなくらしってどういうの?
・緑のカーテンの効果について学んだことを発表する。
・暑い季節を快適に過ごすための工夫を考える。
・緑のカーテンの育て方のパンフレットを作成する。
・緑のカーテンは、南向きに限らず効果があることを説明する。
・緑のカーテンに限らず、自然素材のヨシズ、簾などでも十分遮へいの効果があること、打ち水の効果についても気付かせる。
・環境に配慮したくらしとはどんなことかを考えさせ、小さなことでも行動に移す意欲をもたせる。
・翌年、タネや苗を地域へ配布する際に添付することができるようにまとめる。
11・12時間目ヘチマたわしを作ろう。
・ヘチマたわしを作ってお世話になった地域の方に差し上げよう。・ゴーヤは実を、ヘチマはへちま水やたわしに、アサガオは翌年のタネ採り活動を加えることで二次活用を知る。
・地域へ配布することも可能。

● その後の展開例等

  • 学校生活を快適に過ごすための方策として、「学校の校舎のどこにどのような緑を植えたら効果があるか」のプランを考えさせることもできる。
  • ゴーヤ、ヘチマを緑のカーテンに使用した場合、調理実習の時間を加えゴーヤカレー、ヘチマカレーを作ることもできる。緑のカーテンを作成する箇所が数ヶ所ある場合は、キュウリ、ササゲ等他のツル性植物も入れると調理に幅ができる。
  • 緑のカーテンを大きく作成すると地域の関心が高まるので、タネ採りまでをすると毎年学校全体として取り組むことができる上、地域への拡がりも生まれる。
  • 学年が異なる場合は、蒸散作用などについてプログラムに組み込むこともできる。

● 地域で実践するときの補足情報

当団体では、仙台市という環境で緑のカーテンを設置しているため大掛かりな装置を使用せず地植えで、プラスティック製のネットは使用せず麻紐で作る手法をとっている。事例は多数もっているので、紹介できる。
震災以降、仮設住宅などに子どもたちが苗やへちまたわしをプレゼントするなどに活用されている。緑のカーテンに地域で取り組むことにより、話題が生まれ、コミュニティが形成されていく。