ふるさとのきれいな海を守ろう!

このプログラムは、「環境ボランティアサークル亀の子隊」のプログラムを基にしています。

● プログラムの目標このプログラムでは、浜に流れ寄るゴミを通して、川と海のつながりや、人々の生活と自然環境のかかわりに気付き、ふるさとのきれいな海を守りたいという心を育てる。また、子どもたちの主体的な活動を支えることで、地域を愛する心を育て、よりよい自然環境を創り出すために活動することができる力を育てるという観点から次のように設定する。
○浜のクリーンアップ活動を通して、ふるさとの海を守りたいという心を育てる。
○ポスターやチラシ、看板などを作り、それらを通して地域に呼び掛ける活動を通して、地域の人たちとかかわりながら、子どもたちが主体的に活動しようとする気持ちを高める。
● プログラムの概要ESDを意識した環境教育プログラムでは、持続可能な地域の創造にいかに繋げていくかが一番の課題である。これを実現していくためには、次世代を担う子どもたちに「ふるさとを愛する心を育てること」が最も大切になる。山や川、森・海など、どの地域において活動するにしても、単に「楽しさを味わう」だけで終わるのではなく、その楽しさからその地域のよさを見つめ、そのよさを守っていくことの必要性を学ぶことが重要である。
このプログラムは「海」に焦点を当て、漂着ゴミと向き合い、何とかしようという活動を通して、ふるさとの海を大切にする心を育てるものであり、将来にわたって持続可能な社会を創っていくことに結び付くプログラムである。

● 学習指導要領との関連

学年教科・領域学習内容
小学校3〜4年総合的な学習の時間(5)目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じて,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題,地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題,児童の興味・関心に基づく課題などを踏まえて設定すること。
小学校4年社会
(2)人々の健康や生活環境を支える事業について,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)飲料水,電気,ガスを供給する事業は,安全で安定的に供給できるよう進められていることや,地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解すること。
(イ)廃棄物を処理する事業は,衛生的な処理や資源の有効利用ができるよう進められていることや,生活環境の維持と向上に役立っていることを理解すること。

● SDGsの要素

海の漂着ごみの調査活動や話し合いを通じて,将来にわたり地域を持続可能な社会にするための方法を考える。
生活と自然環境の関わりに気づき,美しい海を守りたいという心をもつ。

● ESDの要素

地域のよさを見つめ,そのよさを守っていくことの必要性や自覚をもつ。
ポスターや看板の設置に際して,地域の人たちと関わりながら主体的に活動する。

● ESDの能力・態度

グループで話し合いながら,海のごみをなくすためには「どのようなメッセージを伝えればよいか」を考える。
ごみがある理由などへの問題意識を高めながら,ごみを集めたり分別したりする活動を行う。
よりよい自然環境のためには,自分たちだけでなく多くの人へ呼びかける必要があることに気づく。

● プログラム(単元・題材)の展開の流れ

12時間

活動、学習内容指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物)
1・2時間目これは何だろう / 海岸のごみの様子を見に行こう
海の「ゴミ」への関心を高め、海に行ってゴミを確かめたいという思いをもつ。
○提示されたものを見て考える。
○海に出かけ、漂着ゴミと出会い、感じたこと考えたことを話し合う。
・導入では教師が海から拾ってきたゴミを見せる。
「これは何だろう?」という問いかけで題材と出会わせ、「海岸へゴミの様子を見に行きたい」という思いを持たせる。
〈ポイント〉
・事前に、名前がついたゴミや驚くようなゴミを集めておいて見せる。
・タイミングよく、海にいってゴミを確かめたいという思いを引っ張り出すようにする。
・「どうしてこんなにゴミがあるんだ」という疑問をもつなど、関心を高めるような出会いを工夫する。
・浜に多くのゴミがあることに子どもたちが怒りや疑問を覚えるような問いかけをする。
〔ノート・デジカメ〕
*活動現場に行くまでの安全への配慮
*活動現場での安全への配慮
*デジカメでゴミの写真を撮っておく。
3・4・5・6時間目どうしてこんなにゴミがあるんだろう / ごみを集めて分別してみよう

○ゴミを分別しながら感じたこと・考えたことを話し合う
・「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「再利用できるゴミ」など大まかにごみを分別し、どうしてこんなにごみがあるのか考える。
・ゴミはいったいどこから流れてきたのかを話し合う。

・分別しながらゴミがどこから来たかを予想する場を設定する。
・記名されたゴミが見つかれば、その場でその地域を話し合ったり、教室に戻ってから地図帳で探したりして、現場との距離などからどうしてここにあるのか話し合わせる。
・流されてきたものが多いことに気がつくように声をかける
〈ポイント〉
・子どもたちが十分に活動できるように時間を保証する。
・子どもたちのどんな感想でも受け止め、深められるように声をかける。
〔ごみ袋・軍手・ノート・デジカメ〕
*活動現場に行くまでの安全への配慮
*活動現場での安全への配慮
*デジカメでゴミの写真を撮っておく。
*子どもたちの活動の様子も撮っておくとよい。
7・8・9・10時間目自分たちができることを考えよう
○海のゴミをなくすためにできることを話し合う。
○きれいな海を守るために自分たちができることは何かをグループごとに考える。
○ポスターやチラシ、看板を作るなどの作業を行う。
〈ポイント〉
・自分たちが拾うだけではなくならないという気付きから、多くの人に伝えたいという思いを大切にする。
・管理者の行政・漁協などとよく相談し、ゲストティーチャーとして授業に参加してもらい、子どもたちにアドバイスをしてもらう場を設ける。
・ポスターやチラシ、看板など、呼びかけるための手だてを考え、製作する場を設定する。
〔画用紙・ペンキ・木材など〕
11・12時間目ふるさとのきれいな海を守るために行動しよう
○ポスターや看板をどこに設置したらよいか、チラシなどはどこで配るかを考える。
○ポスターや看板を設置したり、チラシを配ったりする。
・ポスターや看板を設置するのには許可や設置場所の地域の人との合意も必要であることも気づくようにする。
・製作したポスターやチラシ、看板を配布させたり、設置させたりする時間を保証する。
*安全に留意する

● その後の展開例等

ふるさとのきれいな海を守る心を育て、主体的に活動する気持ちを高めて実際にポスターや看板をつくっても、その場限りになってしまう懸念がある。
大切なことは「きれいな海を守りたい」という子どもたちの心・願いをより多くの人に広げることである。
そのためには、『きれいな海を守る心を広げよう』と題して、海には、その場で捨てられるゴミだけではなく流れてくるゴミが多いという現状を知らせ、きれいな海を守りたいという思いを伝える『手紙を書く』活動を実践したい。
しかし、単純に1人の子のことばだけの手紙では海の現状はよく伝わらない。A4サイズ1枚程度の大きさに現場の様子がわかる写真と子どもたちが思いを記入できる枠を作るなど工夫したい。
また、学級あるいは学校という単位の中でみんなの思いを伝えるためには、みんなの思いをことばにしたメッセージを作り添えることが有効である。
メッセージの作成の際には、「海にゴミを捨てないで下さい」ということばではなく、「きれいな海を守る活動に協力をして下さい」とか「僕たちと一緒にきれいな海を守っていきましょう」という前向きな呼びかけを考えさせるとよい。

● 地域で実践するときの補足情報

○クリーンアップ活動を進める時には地域の行政〈環境課・リサイクルセンターなど〉、漁協などにも問い合わせてみるとよい。

○海の環境を学ぶことができる体験活動を企画するときは、以下のページが参考になる。