公園、探検・発見・ほっとけん!…誰が?
このプログラムは、「幕張ベイタウンにエコパークをつくる会」のプログラムを基にしています。
● プログラムの目標 | 地域の公園の利用度調査や生き物の観察を通して、公園の役割や地域の公園が抱えている課題を知り、その解決方法を考えることを通して、社会参画への意欲を高める。また、地域の特色に合った理想の公園作りを考え、自分たちにできる行動を起こすことで、地域社会に参画し地域の発展に努力しようとする態度を養う。 |
● プログラムの概要 | 高度成長期に画一的に作られた公園が、価値観の多様化した現在に適応せず、利用度が減ったと言われている。そのような実態を受け、21世紀になり、市民参加型の公園づくりが推進されだした。これらのことを受け、このプログラムでは 地域の公園の利用度調査や生き物調査をすることで、地域にどのようなタイプの公園があるか知る。また、それらの公園がどのように維持管理されているのか聞き取り調査を行い現在抱えている公園の問題点について解決方法を考える。その過程を通して、地域社会の形成に参画し努力しようとする態度が養われる。 |
● 学習指導要領との関連
学年 | 教科・領域 | 学習内容 |
中学校1~3年 | 総合的な学習の時間 | (5)目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じて,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題,地域や学校の特色に応じた課題,生徒の興味・関心に基づく課題,職業や自己の将来に関する課題などを踏まえて設定すること。 |
中学校1年 | 理科(第2分野) | 2 (1)いろいろな生物とその共通点 ア いろいろな生物の共通点と相違点に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。 (ア) 生物の観察と分類の仕方 ㋐ 生物の観察 校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付けること。 |
中学校1~2年 | 社会(地理的分野) | 2 C 日本の様々な地域 (1)地域調査の手法 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 (ア) 観察や野外調査,文献調査を行う際の視点や方法,地理的なまとめ方の基礎を理解すること。 (イ) 地形図や主題図の読図,目的や用途に適した地図の作成などの地理的技能を身に付けること。 |
中学校1~3年 | 道徳 | 2 D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること [感動,畏敬の念] 美しいものや気高いものに感動する心をもち,人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。 |
● SDGsの要素
福祉的な公園の役割やその課題を知り,解決方法を考えたり話し合ったりする。 | |
生態系の調査を行い,公園の問題について解決方法を考える過程を通して,地域社会の形成に参画する気持ちをもつ。 |
● ESDの要素
自分たちだけでできること,他者の協力が必要なことの区別をつけたうえで,具体的な行動計画を作成・実行する。 | |
公園には多様な生き物が生息していることに気づき,公園に生物多様性保全の機能があることを学ぶ。 | |
公園の維持管理の形態について知り,公園を作るだけでなく維持するうえでの課題を捉える。 |
● プログラム(単元・題材)の展開の流れ
11時間
活動、学習内容 | 指導、支援の方法、ポイント等(教材・必要物) | |
1時間目 | どんな公園でどんな遊びをしたか思い出そう(地域の公園調査、マップ作り) | |
○グループで、地域内の公園でどんな遊びをしたのかを話し合い、地図にまとめる。 ・地域に多様な公園があることを理解する。公園ではなくても、遊んだ空間の存在に気づく。 ・草花遊びや昆虫採集など、自然とのふれあいを思い出す。 | ◇グループでの対話と協調学習を促す。 ・年代別に遊んだ内容、場所を分けてマップをつくるのもよい。 ・自然とのふれあい体験の話し合いを促す。 問いかけ例: …地域の公園ではどんな人が利用しているのだろうか? 〔地域の公園マップ〕 | |
2・3時間目 | ①どんな人が利用しているのだろう?(利用度調査) | |
○グループに分かれ、1グループが地域の1公園を担当して、利用度調査を行う。 | ◇調査対象は、地域内の多様な公園(街区公園、近隣公園、都市緑地など)とする。 ・親子の利用の多い児童公園などでは、幼児等の観察も行うと新しい発見が期待できる。 ・可能であれば休日等に調査活動を行い、平日と休日の違いを比較する。 〔利用度調査ワークシート〕 | |
4・5時間目 | ②公園にはどんな生きものがいるだろう?(生きもの調査) | |
・植物については、名前にはこだわらず違うものとして区分された数を調べる(名前のわかるものは記入する) ・動物についても、違うと認識できる種類数を調べる。 ・虫こぶや虫に食べられた葉など、植物と動物のつながりがわかるものを探す。 | ・生き物の違いを発見する。 ・人工的な公園であっても、探せば多様な生き物が生きていることを体感する。 ・公園に生物多様性保全の機能を有する可能性があることに気づく。 〔生きもの調査ワークシート〕 | |
6時間目 | ①②の調査で分かったことを発表しよう(まとめ) | |
・調べてきた内容を公園ごとに発表する。 ・地域内で調査を行った全ての公園の情報をクラスで共有する。 | ・多様な公園が存在し、機能により利用度が異なることを理解する。 ・まちには公共空間が存在し、その維持管理の仕事があることを気がつかせる。 ◇調査結果を報告することで、プレゼンテーション能力を高める。 | |
7時間目 | 公園の維持管理は誰がしているのだろう?(学習・調査) | |
・公園の維持管理をする形態について知り、この地域の公園はどんな団体が維持管理しているのか調べる。 | ◇管理団体として、どんな団体が存在するか資料を渡しておく。 (市民行政 ボランティア NP0等) ◇調査で集めた資料やインタビュー等から、実際の維持管理者を探す。 | |
8時間目 | 公園を維持管理している団体に活動内容や問題点を聞こう(聞き取り調査) | |
・個人またはグループで事前に質問を考えておく。 ・管理団体の人の話を聞きながらメモを取り、質問を考える。 | ◇管理団体の人と事前調整する。 ◇現地に行けない場合は、学校に外部講師として来て話してもらう。 | |
9時間目 | 理想の公園について話し合おう 自分たちにできることを探そう(グループ討議) | |
・2回の調査と管理団体の話を聞いて、自分たちの「地域にふさわしい」理想の公園について話し合う。 ・その理想の公園にするために、これから自分たちにできることは何か話し合う。 | ◇生徒が考える理想の公園について話し合わせる。 (グループ)(絵や図解にまとめる) ◇理想の公園にするために、自分たちにできることを考えさせる。 (必要に応じて公園法に触れる) | |
10時間目 | 自分たちが考えた理想の公園を発表し合おう(発表・全体討論) | |
・グループ毎に発表し、さらにクラスでまとめる。 ・理想の公園を作るために自分たちが出来る行動について話し合い計画を立てる。 | ◇絵や図解を使って分かりやすく発表させる。 ◇自分たちだけで、出来ること、他者の協力が必要なことの区別をはっきりさせ、具体的な行動計画にする。 | |
11時間目 | 私たちが考えた理想の公園を管理者に届けよう(実践) | |
・理想の公園像を公園管理者にプレゼンする(届ける)。 ・行動計画(自分たちにできること)を実践する。 | ◇管理団体の人を招待するか、可能であれば事務所へ訪問する。 ◇行動計画を実践する場合、管理者の許可を取る。 |
● その後の展開例等
- 市民により維持管理されている公園や花壇等、冒険広場やオープンガーデンがある地域では実際に公園の維持管理活動に参加し体験する。
- 公園を利用した自然観察路を作り、学校や地域に紹介する。(「自然観察路コンクール」に応募することもできる。)
● 地域で実践するときの補足情報
- このプログラムは、市民参加で維持管理している公園・緑地(冒険広場をふくむ)・花壇が地区内にある学校であれば、教員が市民団体に働きかけて実施することができる。そのような団体がなくても、公園の維持管理は行政がかならず関わっているので、少なくても、行政側の話しは必ず聞けるはずである。
- 指導する教員は、公園の維持管理がその地域ではどのように行われているか、ある程度の下調べは必要とされる。